Sound Archive – エフェクター、楽器等のレビュー・比較

ZOOM G3 Version 2.0

zoom

家で気軽に弾ける練習用のマルチエフェクターを探していて、
小柄で安価な ZOOM G3 (Version 2.0) を購入しました。

軽い気持ちで買ったものの、使ってみると思った以上の実力で正直驚いています。

このマルチエフェクターの特徴は、マルチでありながらコンパクトエフェクターを並べたような使い心地がすることです。
6つの枠があり、好きなエフェクターをそれぞれにセットしていく感覚はまるでエフェクトボードを組んでいるような感覚です。
個々のエフェクトのオン/オフもペダルで行うので、ひとつのプリセットで多彩な表現が可能です。

ペダルは3つしかありませんが、同時押しをすることで左右にスクロールし、他のエフェクトの操作もできるようになります。
それぞれのエフェクトごとに3つのツマミがあり、歪み量やトーンの調整ができます。
調整できるパラメータが3つしか無いわけではなく、ページボタンを押すことでつまみの役割が変わり、かなり多くのパラメータを調整出来ます。

この記事を書いている時点でのエフェクト総数は 116 種類で、
カテゴリーに関係なく自由な順番で配置できます。
このエフェクトの中には歪み系や空間系以外に、アンプシミュレータやノイズリダクションも含まれていて、実際のアンプに繋ぐときはシミュレータを使わずに他のエフェクトに差し替えることもできます。

アンプシミュレータはマーシャルやフェンダーなどの定番ものや、
Vox, Orange, Bogner などの有名なアンプのモデリングが搭載されています。
他のエフェクトに関しても実在のエフェクターがモデルになっている物が多く、
Dyna Comp や OD-1、Metal Zone、TS-808、RAT などがあります。

背面は左からギター入力、パッシブ・アクティブ切り替え(ピックアップ)、 バランスアウト、ミキサーに送る際の PRE / POST 切り替え、GROUND の CONNECT / LIST 切り替え、出力の L(ヘッドフォン兼用) と R、ペダル等の CONTROL IN、USB、電源スイッチ、DC IN です。
一応ケンジントンロック用らしき穴も開いていますが販売店への配慮でしょう。

単三電池4本、またはコンパクトエフェクターと同じ DC 9V で動作します。
AC アダプタの接続口は何故か若干奥にあり、L字型のタイプが刺さらない場合もあります。
根本から 1.5 cm くらいの長さがあれば L字型でも差し込むことはできます。
ちなみに 1 SPOT は刺さりませんでしたが 1 SPOT 専用の分岐ケーブルなら刺さりました。
一応小さな AC アダプタはついてくるので素直にそちらを使ってもいいでしょう。

音の面では歪み、アンプモデリングともにかなり質のいいエフェクトが揃っており、
ZOOM 的なあざとさはあるものの、いかにもデジタルという感じはなく、迫力のあるサウンドが楽しめます。
別途コンパクトタイプを併用する必要を感じさせないほどよくできているし、バリエーションも豊富なのでとても良いと思います。
とはいえ歪系エフェクト使用時のノイズは一般的なエフェクター並みに有り、特に小さくはありません。
ノイズリダクションを使うとかえって不自然になるので、録音時などは DAW 側でリダクションをかけることをおすすめします。

空間系もかなりの数があり、ディレイだけでも複数のモデリングが有り、専用機並みのパラメータを設定出来ます。
基本的にアンプモデリングにはリバーブがついていないので、もし使う場合は別途エフェクトとして使う必要があります。

エフェクトの選択は「▲▼」のボタンだけで、カテゴリーから選ぶ機能などがないので、長押しするか連打するしかありません。
Diezel のアンプモデリングを使いたいのであれば 58 回連打して下さい。
しかしながらそのボタンは貧弱なのでなるべく押すべきではありません。
PCと接続すればグラフィカルなエディタで編集することができるので、
基本的にはそちらを使うのが無難です。

その他欠点としてはペダルの同時押しがスクロールに割り当てられているのでエフェクトの同時 ON/ OFF ができないことと、プリセットの変更は切り替えモードにするために長押しする必要があるので咄嗟に変更できないことです。
また、オーディオインターフェース機能はありますが量子化ビット数は 16 bit なので本格的なレコーディングには向きません。
最大 6 つのエフェクトの同時使用ができますが、アンプシミュレータなどの複雑なエフェクトによっては多くの処理が必要となり、処理量上限にひっかかると4〜5個くらいしかセットできない場合があります。

多少の問題点はありますが、総評としてはライブ向きの実用的なマルチエフェクターだと思います。
操作性も抜群に良いし音も生々しい迫力があり、バリエーションも豊かです。
価格面でも一万円台前半で買えるというハイコストパフォーマンスなので、
最初の一台や、エフェクトボードの不足を補うにはもってこいの優れたエフェクターだと思います。

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