VOX の低価格マルチエフェクター ToneLab ST は真空管を備えた Valvetronix シリーズの一つです。
33種類のアンプシミュレータと11種類のキャビネットモデルがあるので、アンプシミュレータとして使えます。
通常のアンプにあるようなゲイン、3バンドEQ、ボリュームのツマミがパネルについているため、アンプを調整する感覚で直感的に操作できるのは良いと思います。
プログラム(バンク)セレクトは2つのペダルで行い、同時押しでチューナーモードになります。
残念なことにバンクセレクト時にわずかながら音の切れ目が目立つので、大事なシーンでバンクを切り替えるのには向いていないと思います。
アンプシミュレータ部分以外にも歪み系のエフェクトや、空間系のエフェクトもひと通り揃っています。
クリーンやクランチあたりのシミュレートはかなり綺麗にできていると思います。真空管の影響があるのかファットな音が作りやすいです。
歪んだ音作りはアンプシミュレータ部分だけで作るとデジタル臭さがかなり出ます。アンプシミュレータのゲインをやや控えめにし、ペダルエフェクト部にある BOUTIQUE ペダルで少しブーストすると比較的に自然な音になると思います。
ただしペダルエフェクトの同時使用はできないので、歪み系のエフェクトとワウやコンプは併用できません。
モジュレーション系とリバーブは独立したグループになっているのでそれぞれ同時に使うことができます。
ディレイはタップテンポ対応で、「CHORUS+DELAY」を選べば重ねがけも一応出来ます。
リバーブはスプリング、ルーム、ホールがあり、ひとつのツマミで簡単に操作できます。
ボリュームペダル兼ワウペダルとして小さめのペダルが備えられています。
本家ワウペダルを横に置くと写真のようなサイズ感です。
およそ指三本分ほど小さい感じです。
演奏中にワウとボリュームペダルを切り替える場合はプログラムごと切り替える必要があります。
背面にはオーディオインターフェース(ASIO対応)やライブラリアン(PC用のエディタソフト)のためのUSB端子が備えられています。
また、AUX IN 端子があるのでオーディオプレイヤーを接続して練習が可能です。
OUTPUT はヘッドフォン兼用で、出力レベルもツマミで調整できます。
ラインに繋ぐ場合やアンプに繋ぐ場合も想定し、それぞれのケースに合わせたモード切り替えスイッチがあり、ライン用、VOX用、Fender用、Marshall用がそれぞれあります。
コンパクトながらもなかなか機能性に飛んだマルチエフェクターなので、ジャズコーラスなどのトランジスターアンプのキャラクターを変えたり、コンパクトエフェクターのオーバードライブなどと組み合わせて使うのもいいと思います。
マルチエフェクターを初めて買う人や、DTMでちょっとギターを録音してみたい人には良い選択肢です。